今回紹介する書籍↓
コミュニケーション論をつかむ 

こんな方にオススメ

自分コミュ力低いな・・・と思う方、
いろんなコミュニケーション本を読んできたけどいまいち上手くいかない方、
もしよかったら、そもそも「コミュニケーション」って何なの?を本書を通じて考えてみるのはいかがでしょうか?

こんな本です

本書は、コミュニケーションを色んな階層から解説した本になります。
個人や個人間のコミュニケーションといったミクロなレベルから、
伝達方法による違いやコミュニケーションする者同士の関係性、コミュニケーションの影響力といったメソレベル
企業活動や文化、メディアなどで行われるマクロなレベルのコミュニケーションまで、
コミュニケーションを色んな角度から俯瞰することができます。

本ブログの流れ

まず、コミュニケーションとは何か?について解説します。
これは本書の第一章で書かれており、コミュニケーションというものの捉えづらさや、その幅広さの一旦を垣間見ることができます。

残りは、印象に残ったTIPSを3つだけ、かいつまんで解説いたします。
(本書は24の章で構成されており、それらすべてを詳細に解説すると冗長になってしまうので。)
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コミュニケーションとは何か?

本書におけるコミュニケーションの定義を私なりに表現すると、
①情報伝達(0-100%)+②意図の伝達(0-100%)+③関係性の形成維持(0-100%)
(ただし、①ー③が全て0のコミュニケーションが存在する可能性もある)
となります。

例)あいさつ
③関係性の形成や維持がメインの目的ですね。
①情報伝達の意味合いはほぼなく、②何らかの意図を持ってることもあるかもしれませんが、ないことがほとんどと思います。

例2)パソコンが自動的にメールをサーバーからダウンロード
①の情報伝達だけで、②や③が一切ない。
コミュニケーションらしくない印象を持つと思いますが、情報工学などの分野ではコミュニケーションと呼ばれることがあるそうです。

この定義を解説していきます。

まず、そもそもコミュニケーションをきちんと定義することは難しいです。
研究者によってなされた定義だけでも100以上あり、一貫した特徴や要素を見出すことがほぼ不可能だそうです

あいさつもコミュニケーションだし、居酒屋に電話予約するのもコミュニケーションといえるでしょう。
言葉じゃなくても、握手やハイタッチ、見つめあうだけでもコミュニケーションになります。

こうして考えると、コミュニケーションと呼ばれるもの全体に共通する特徴は恐らくなく、複数の特徴が部分的に類似しているだけなのだと本書で語られます。(=家族的類似

そのような中で、本書では上記3つの特徴を取り出しています。
上記の3つの要素が大きくなるほどコミュニケーションらしくなり、小さくなるほどコミュニケーションらしさが薄れるのだということも書かれていました。
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印象に残ったTIPS:3つ厳選して

・書くように話し、話すように書く
活版印刷により大衆が文字を理解するようになると、文字は書くにも読むにもじっくり吟味するので、より論理的な思考が求められます。そうすると話し言葉もより論理的になり、「書くように話す」ようになります。

インターネットが発展すると、LINEのように日常的に文字を送りあう文化が生まれます。そうすると文字で送る言葉はより話し言葉に近くなり、「話すように書く」ようになりました。

・改札前で、みんながスマホをいじってるのは、ある意味正しい
公共の場所で、他人同士が共存するためには、ある程度の距離感が必要。

「儀礼的無関心」と言って、自分が何に関与しているかアピールすることで、他人に害を加えない、安全な存在になる。そういう意味で、スマホをいじってる人は、(ながら歩きの害を別にすれば)無害な存在であることを無意識にアピールしているとも言えますね。

逆に、例えば周りをキョロキョロ見渡してたりとか、何をしているかわからない人は不審で、あまり近寄りたくないですよね。

・オオカミ少年とパニック神話とカタストロフィ:災害コミュニケーション
災害前は、正常化バイアスが働きやすい。
避難勧告があっても、「まぁ大丈夫っしょ」と思いがち。
避難勧告の空振りが続くと、オオカミ少年効果で、正常化バイアスに拍車がかかる。

勧告する側は、下手に報道するとパニックになるのでは?と思いがち=パニック神話
でも、実際には上記のように正常化バイアスでパニックになる人は少ない。

逆に、災害後は、カタストロフィバイアスが働きやすい。
地震災害に遭うと、ちょっとした揺れでも「またあんなことが起きたら・・・」と不安になりやすいようです。
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いかがでしたでしょうか。

ちなみに本ブログのタイトルは、本書籍の「はじめに」に書いてあった印象的な一文をそのまま引用しました。

コミュニケーションは相手を理解するプロセスでありながら、相手を完全に理解することはあり得ない。理解しようとすればするほど、理解しきれない相手としての他者が浮かび上がってくる。
そういう意味で、「コミュニケーションとは自己と他者をつなぐと同時に、あるいはそれゆえに、切り離すものでもあるのだ」。

コミュニケーションが得意でないと自覚する私としては、この一文は非常に心が楽になるフレーズでした。相手は相手、私は私。相手への配慮はしても、迎合はしない。

とても勉強になる本でしたので、もしよろしければご一読ください。
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*TIPSが多くなりすぎないように3つに厳選したのですが、ほかにも面白いTIPSがあったので、以下におまけとして載せておきます。

・赤ちゃんが言語音に近い音を話すほうが、親は可愛らしく感じるらしい
生まれたばかりの頃の「あー、うー」というのもかわいいですが、「まんま」みたいに言葉らしくなってくると、より可愛らしく感じて、あやしたくなるそうです。あやすことにより更に言葉の学習が進む、というわけです。

・非言語が言葉の理解を支える
石が斜面を転がり落ちる場面を想像してください。
「ゴロゴロ落ちる石」は「コロコロ落ちる石」よりも大きくてゴツゴツしたものを想像しませんか?

これは口の感触という触覚的情報が、言葉の理解を支えるのでは?と言われているそうです。

・親密さと疎遠さと、言葉遣い
親密になりたいとき、受け入れられたいとき、タメ口になったりあだ名を使ったりする。
逆に踏み込まれたくないとき、あえて敬語を使ったりする。
普段タメ口で喋ってる人が敬語で喋ってきたりすると、よそよそしく感じますよね。

・好意を示すには、WhatだけでなくHow(特にタイミング)を意識する
誕生日プレゼントをもらうのはうれしいけど、誕生日の1ヶ月後にもらっても、あまりうれしくない。
「髪切った?」はコミュニケーションのハウツー本でよく載ってるキラーフレーズだけど、相手が「私、髪切ったんだよね」と言ってからじゃ遅すぎる。

タイミングって大事ですね。

・どんな普及現象も流行に過ぎない
みんなと一緒がいいという「同調」と、みんなと差別化したいという「非同調」の相反する欲求が流行を生む。
同調欲求が強くなると、普及になる。
流行や普及の繰り返しや積み重ねにより、文化や社会が形成される。
ただし、どんな普及現象も流行に過ぎない。

たとえば、昔は一家に一台テレビがありましたが、今はテレビを持たない若い世代も増えましたよね。

・世論がどう動くかは、誰にもわからない
例えば、選挙で「〇〇候補が優勢」となった場合に、人々の投票行動への影響は2種類ある。

一つは「判官びいき効果」で、負けそうな人を応援したくなる心理。
もうひとつは「勝ち馬効果」で、勝ちそうな人に便乗したくなる心理。
どちらがより大きく影響するのかは、結局のところよくわからないそうです。

・暴力映像が与える影響は?
テレビゲームで人を殺してばかりいると、タガが外れて現実でも殺人を犯してしまう・・・みたいなフィクションはよくあります。でも実際にはカタルシス効果といって、そうした映像を見ることで、ストレス発散になり暴力が減ったなんて研究もあるそうです。そんなわけで、暴力映像が人に与える影響は、決着はついてないそうです。

もちろん、凶悪犯の犯罪を見て真似をする模倣犯だったり、有名人の自殺のあとの後追い自殺だったり、大きく影響を受けてしまう人も少なからずいますが。

・組織だって、イメージが大事
人間、第一印象が肝心だ、ってよく言います。
組織も事情は一緒なようです。
「ブラック企業」、「チャラいサークル」、「不祥事を起こした会社」・・・イメージが悪いと損しますね。
コーポレートコミュニケーションと言うそうです。