永井紗耶子:木挽町のあだ討ち
芝居小屋…そこは悪所と言われる。この物語は芝居小屋で日銭を稼いで生きていた人達の、お上への意趣返しだ。
読了後すぐにそんなことを思った。
何故彼らは芝居小屋という悪所にたどり着いたのか。何故そこで仕事を得、生業としたのか。
只ただ、そこには辛酸を味わい尽くしたからこそ、社会が機能しなかったからこそ負った傷の痛みを知った者のすがたがあった。
だから彼らは仇討ちを背負った若者、菊之介の後ろ姿を支えたのではないか。そして、それは彼らにとってはお上への、社会への復讐だった。そんな風に感じてならない。
一方、主人公菊之介の父親には全く共感出来ない。何故息子に人殺しを、あだ討ちという業を背負わせたのか。忠義や大義のためなら命の一つや二つどうでもいいのか??
そんな忠義が優先される組織に未来はあるのか?
私には菊之介の父親の思い上がりに感じる。
そんなことを本書を読んで思う。


