今回紹介するのは本ではく、歌です。
Mr.childrenの「彩り」です。
仕事論、もしくは人生論として考察可能な気がしています。

詳細な歌詞はググって頂くとして、僕は歌詞の中に出てくる3つの対比が気になりました。
・モノクロと彩り
・些細な生きがいと馬鹿馬鹿しさ
・些細な生きがいと確かな生きがい

モノクロと彩り

日常生活がバラエティーに富んだ刺激的な毎日だ・・・という方はさほど多くないでしょう。仕事をしていればルーチンワークの連続ですし、学校生活だって毎日授業ばかりですよね。色がなく、刺激も華やかさもない、まさにモノクロです。
でも仕事って、需要があるから仕事なわけで、自分が仕事をすることで喜ぶ人が確実にいる。ちょっと想像すればそれは必ずわかる。そうすると些細な生きがいが生まれ、日常に彩りが生まれる。そんなところで歌の1番が終わります。

些細な生きがいと馬鹿馬鹿しさ

ふと世界に目を向けると、やれ戦争だの環境問題だの世界経済がどうだの大きな出来事が日々起きています。そんなことに対して色んなことを考え、翻って自分の仕事に目を向けると、その小ささにおどろく。些細な生きがいだった自分の仕事が、馬鹿馬鹿しく思えてしまう。歌の2番では、そんなことが語られます。

些細な生きがいと確かな生きがい

3番の歌詞にこんなセリフがあります。
「なんてことのない作業が 回り回り回り回って 今 僕の目の前の人の笑い顔を作ってゆく」
自分のした仕事は、(たとえ直接的にではなくても)誰かの笑顔へとつながるんだ。
そしてその誰か、というのはきっと、リアルな実感を持った特定の誰かなんでしょう。
そう思うことができれば、それは些細ではなく確かな生きがいとなる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

書籍と絡めた考察

前回、贈与論に関する書籍の読書ログを書きました。

この本の中で、アンサングヒーローという言葉が出てきます。
これは「誰に感謝されるわけでもないけど、人知れず世界を支えている人たち」のことです。

また、本の中で「ボランティアは積極的だけど献血には消極的」な人のことが語られます。ボランティアは目の前の人に感謝されるから積極的になれるけど、献血は誰のためになっているか実感が得にくいからモチベーションがわかないというわけです。

では献血に対するモチベーションを上げるにはどうすればいいのか?例えば輸血によって一命をとりとめた人や、輸血不足により命を落とした人が身近にいれば、積極的になりやすいでしょう。身近な人でなくても、ニュースやフィクションの世界でそうした人物が出てくれば、動機づけになるかもしれません。
要はお題目的な道徳心ではなく、喜ぶであろう人の顔がリアルに想像できることが重要なのかもしれません。(もしくは不幸を未然に防ぐことで守られる笑顔)

つまり、「自分はアンサングヒーローの仕事をしているんだ」という実感を持って仕事をすることができれば、日常はカラフルに彩られるのだと解釈しました。

雑感

最近思っている仮説として、「人間のあらゆる能力の中で(現代の先進国では)最も重要な能力は想像力なのでは?」というのがあります。

これは「サピエンス全史」から着想を得ています。
https://www.amazon.co.jp/dp/B01LW7JZLC/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1
本書曰く、ホモサピエンスは他の人類と比較して「想像を共有する力」に長けており、それにより多人数で一致団結することで他の人類を駆逐したんだそうです。その他にも、国や宗教など実態のないものでも、「想像を共有する力」によりあるものとして扱って、実際に力を発揮していますよね。

現代は個人化の時代で、価値観が多様化して、誰もが目指すべきゴールのようなものがわかりにくいと思います。ただ、鬼滅の刃の無一郎も「僕は幸せになる為に生まれてきたんだ」って言っていましたが、これは比較的目指すべきゴールとして頷く人が多いのでは。

*ただ、何らかの罪の意識を感じている人など、「自分は幸せになるべきでない」という風にとらえる人もいますが。

そして、幸せを感じるためには、贈与論で書かれているように、自分は多くの贈与を受けてきたこと、そしてアンサングヒーローとして贈与を届けるべき宛先があること、それらを実感することが重要だと思います。
この2つはどちらも想像力がないと気づくことが難しい。なので、想像力が最も重要なのでは、とそう思いました。